ストレス耐性が高い人の意外なデメリットとは?強さの裏に潜むリスクと自己理解の大切さ

「ストレス耐性が高い」と聞くと、多くの人が「理想的な性格」「社会で活躍しやすいタイプ」といったポジティブなイメージを思い浮かべるかもしれません。実際、困難な状況において冷静に対応し、感情に流されずに業務や対人関係をこなせる人は、職場や社会生活において重宝されやすい傾向があります。

しかし、ストレス耐性が高いことには、必ずしもメリットばかりがあるわけではありません。実は、その「強さ」が原因で見落とされやすいデメリットやリスクも存在します。この記事では、ストレス耐性が高い人が抱えやすい落とし穴と、それに気づくための視点、そしてよりよいバランスを見つけるためのヒントについて考察します。

ストレスに強いことの裏にある「我慢」や「鈍感さ」

ストレス耐性が高い人は、一般的に外部からの圧力に対して動じにくく、感情的な反応を抑える能力に優れています。しかし、それは同時に「我慢しやすい」「無理をしても気づきにくい」といったリスクにもつながります。たとえば、長時間労働や過度な責任を抱えても、自分の限界に気づかず、疲労や精神的ストレスを蓄積してしまうケースがあります。

また、ストレスに強いからといって、ストレスを“感じていない”わけではありません。むしろ、自分の気持ちに鈍感になってしまい、本当の疲労や不満を見過ごしてしまうことが問題なのです。「周囲が困っているから」「これぐらい大丈夫」と無理を続けた結果、ある日突然心身の不調として現れるということも少なくありません。

「頼られすぎる」ことによる負担の増加

ストレス耐性が高い人は、「あの人に任せておけば安心」と見なされやすく、結果的に仕事や役割を一手に引き受けることになりがちです。特に組織やチーム内で他のメンバーが困っている時、頼られることが増える一方で、自分が助けを求める場面は少なくなっていきます。

こうした状態が続くと、徐々に「自分が頑張らなければ」「人に弱音を吐いてはいけない」といったプレッシャーに変わっていきます。気づかないうちに孤立感が増し、心のバランスを崩す要因となることもあります。誰かに頼られることは嬉しい反面、自分の限界を正しく伝える力もまた、長期的には重要なスキルなのです。

弱さや悩みに気づきにくく、支援を遠ざける傾向

ストレスに強い人ほど、「相談するまでもない」「自分で何とかなる」と考える傾向があり、支援を受ける機会を自ら遠ざけてしまうことがあります。また、周囲も「あなたなら大丈夫だろう」と思い込み、声をかける機会を逃してしまいがちです。

そのため、仮に心身の不調があったとしても、発見が遅れたり、支援が行き届かないといった事態に陥るリスクがあります。とくに管理職やリーダーの立場にある人ほど、自分の内面をさらけ出すことに抵抗を感じやすく、「見えない疲れ」を抱えたまま仕事を続けてしまうのです。

他者のストレスへの共感力が下がる可能性

もう一つ見落とされがちなデメリットとして、ストレス耐性が高い人は、他者のストレスに対して「なぜそんなことで悩むのか」と理解しにくい傾向があります。これは、共感力がないというわけではなく、「自分は大丈夫だったから」という経験が無意識のうちに他人への評価にも影響してしまうからです。

結果として、ストレスに弱い人や不安を感じやすい人に対して厳しく接してしまい、無意識のうちにプレッシャーを与えてしまうこともあります。人によって感じ方が異なることを受け入れる視点がなければ、人間関係において誤解や距離感が生まれやすくなるのです。

ストレス耐性の高さと向き合うために

ストレス耐性が高いこと自体は、大きな強みであり、多くの場面で役に立つ資質です。しかし、その「強さ」に自分自身や周囲が過度な期待を寄せすぎることで、かえって心のバランスを崩してしまうこともあります。

重要なのは、自分が「大丈夫だ」と思っていても、定期的に自分の状態を振り返り、「本当に無理をしていないか」「誰かに頼れているか」といった問いを持つことです。ストレス耐性が高い人ほど、セルフチェックや支援の導入を意識的に行うことが求められます。

また、他者のストレス反応に対しても、自分の基準ではなく、相手の感じ方に寄り添う姿勢を持つことが、人間関係を円滑にし、組織全体のメンタルヘルスにも好影響をもたらします。

まとめ

ストレス耐性が高いという資質は、社会の中で重宝されがちですが、その裏には「我慢しすぎる」「助けを求めにくい」「共感が難しい」といったデメリットも存在します。そうした側面を自覚し、時には立ち止まって自分の心と向き合うことが、真に健全な強さを育むためには不可欠です。

ストレスに強いことと、自分に優しくあることは両立可能です。無理をしすぎず、支えを求めることをためらわず、バランスの取れたストレス対処力を築いていくことで、自分も周囲もより健やかに過ごすことができるでしょう。

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